3拍子でもロック…7拍子でもロック…time-out的ロックの見方 Part 2
◯変拍子ロックの世界
こんばんは。前回の記事で触れた『変拍子のロック』。
ストレートな4拍子ではない、ひねくれた世界ですが、今時の音楽にはない”味”があるわけで、このブログを読んでいただいている皆さんには是非聴いて頂きたいと思いながら書いております。何せストレートではないから違和感を感じるわけですが、違和感を引きずりつつ音楽として成立している変拍子のロック世界はハマればどっぷり浸かってしまいます。これはプログレッシブロックにはまり込むと同じ意味になり(笑)メジャーな世界に戻って来るまでかなりの時間を要します。つまり、『マニアック』な世界へはまり込むと言う事です(笑)。
別に同じ趣味の人を作ろうと引っ張るわけではありませんのでご安心ください(笑)
ただ、こんな音楽もあるんだよ〜と御紹介している次第です。😏
◯5拍子でロック…
前回の記事で触れたピンク・フロイドの『マネー』。これは7拍子が主に使われていると申しました。7拍子だけではなく4拍子、3拍子で曲が構成され独特な感じになっている、と。そしてtime-out、デイブ・ブルーベックカルテットのアルバムですが、その代表曲『テイクファイブ』は5拍子と申しました。これはジャズなのですがロックでも5拍子を使ったグループはあるのかないのかと言うと、あります。
それがエマーソン、レイクアンドパーマーというグループの『タルカス』です。エマーソン、レイクアンドパーマーは3人組のグループで(3人組という編成も最近はほとんど見ませんよね。ライブも3人だけで迫力のある演奏を繰り広げました。)ロック音楽にジャズやクラシックを取り込んで独自の音楽世界を表現していました。キーボード、ベース、ドラムと言う編成も今では見られません。
このアルバムの表題曲『タルカス』に5拍子が使われています。この曲は組曲になっているのですが、冒頭のEruptionのフレーズが5拍子でして、このフレーズはちょくちょく曲の中で変調されたりして出てきます。フレーズを聴きながらカウントしてみると、5拍子なんですよね。5拍子だという事に気付くと、拍子なんて意識せず音楽を聴いていた事に驚きを感じたものです。ロックなのに5拍子!。でも、躍動感のある、オルガンロックとして違和感なく聴ける!のです。
◯タルカスも5拍子だけではない!入り組んだリズムの構成
さらに聴いていって気付くことが、5拍子のフレーズの後に3拍子のフレーズが入り、4拍子のフレーズが出てきたりして曲は進行していきます。いろんな拍子が曲のアクセントになっている。フレーズだけではなくリズムまで変えて来るんです。この曲は頻繁に拍子が変わります。音楽が目まぐるしく変化する、それを演出するのに拍子が変わる、変拍子を使うことが効果を発揮しています。音楽に起伏、うねりが現れてきます。無意識に聴いていたこの曲の中に、たくさんのリズムの変化が散りばめられている事に改めて感心し驚きも感じます。複雑怪奇なリズムの『箱根の寄木細工』と言えるのではないでしょうか。
ちなみにボーカルが入る部分は4拍子だけです。これは5拍子では歌えないと言う理由だったようです。ボーカル担当のグレッグ・レイクは5拍子を曲に使うと言われて、「それなら、キース(エマーソン、タルカスの主な作曲担当)のソロアルバムに使ってくれ」と大反対したというエピソードがあったそうです。確かに歌いにくいですね、変拍子(笑)。
ピンク・フロイドの『マネー』は7拍子、『タルカス』は5拍子。
ロック音楽は懐が本当に広いですね。
パソコンでの音楽制作が一般的になり失われた「何か」が、手作業でアナログテープを切り貼りし気の遠くなりそうな労力が注がれてできた昔の音楽に隠されているような、そんな気がします。
それではこの辺で失礼いたします。